「AIでアプリを作りたい」。じゃあそのアプリはどこで動かす?
Webなのか、スマホなのか、ゲームなのか。この選択で使う技術も難易度も全く変わる。ツールを選ぶ前にまずここを決めるといい。
結論、Web、スマホやゲームでも作ろうと思えば作れる。今後そのハードルはさらに下がっていくだろう。ただ、初学者が取り組みやすいものとそうでないものがあるので紹介する。
ざっくり3つに分かれる
| プラットフォーム | 例 | AIコーディング相性 |
|---|---|---|
| Web | ブログ、SaaS、業務ツール | ◎ |
| スマホ | iOS/Androidアプリ | ○ |
| ゲーム | 2D/3D/VRゲーム | ○ |
SaaSとはSoftware as a Serviceの略で、月額課金で使うWebサービスのこと。NotionやSlackが代表例。
ただし、プラットフォームだけで難易度は決まらない。何を作るかで大きく変わる。
難易度を分けるのは「データの扱い」
同じWebアプリでも、こう違う。
| 作るもの | 難易度 | 理由 |
|---|---|---|
| 静的サイト、LP | 低 | HTMLを置くだけ |
| 計算ツール、変換ツール | 低 | データ保存不要 |
| ログインが必要なアプリ | 中〜高 | 認証認可の実装が必要 |
| ユーザーデータを保存するアプリ | 高 | DB設計、セキュリティ対策が必要 |
「Webは簡単」と言われるのは、静的サイトやシンプルなツールの話。認証やDBが入ると、急に複雑になる。SupabaseやFirebaseを使えば楽にはなるが、それでもセキュリティを考え始めると一気にハードルが上がる。
これは仮の話ではない。2025年7月、女性向けマッチングアプリ「Tea」で約72,000枚の画像が流出した。うち約13,000枚は本人確認用の身分証明書の写真。原因はハッキングではなく、Firebaseのセキュリティ設定がデフォルトのまま放置されていたこと。認証ポリシーが一切設定されておらず、誰でもデータにアクセスできる状態だった。バイブコーディングで素早くアプリを作れても、セキュリティ設定は自動ではやってくれない。

Webアプリ — 公開は簡単、でも認証・DBで難易度が跳ね上がる
Google Chromeなどのブラウザで動く。VercelやNetlifyといったサービスを使えば簡単にWeb上で公開できる。URLが発行され、他者に共有できたときは非常に嬉しいはず。
技術的にはNext.js(React)といった技術が現在の主流。最近話題のv0もLovableもBoltもReplitも、出力するのはほぼNext.js。AIコーディングツールが最も得意とする領域。
ただし、ユーザーごとにデータを保存したい場合は話が変わる。DBをどこに置くのか? 認証はどうするのか? SQLインジェクション対策は? 個人情報の取り扱いは? といったように考えることが一気に増える。
静的サイトは構成がシンプルだが、認証やDBが入ると関わるサービスが一気に増える。それぞれの接続部分にセキュリティの考慮が必要になる。
難易度が低いもの:ブログ、LP、計算ツール、ポートフォリオ、情報サイト
難易度が高いもの:ECサイト(決済・在庫管理)、SNS(ユーザー間のやり取り・モデレーション)、SaaS(マルチテナント設計・課金管理)
スマホアプリ — ローカルにデータを持てる強み
おなじみのApp StoreやGoogle Playでスマホにダウンロードできるもの。
App Storeの審査がある。iOSとAndroid両対応は手間。といったように多少Webより面倒。
ただ、先ほどのWebアプリでデータベースが入ると難易度が高いと記載したが、スマホアプリの場合は端末をストレージにできるのが特徴。
メモアプリ、家計簿、習慣トラッカー。こういうアプリはユーザー自身のデータを扱う。Webでこれをやろうとすると、サーバーにDBを置いて、認証を実装して、セキュリティを担保する必要がある。
スマホアプリなら、SQLiteなどのローカルDBにデータを保存できる。サーバーを持たなくていい。攻撃されるサーバーがないから、セキュリティリスクも低い。オフラインでも動く。
ただ、スマホアプリでもWebと同じように難易度は上がるが、ログイン機能やDBを外部に持つことも可能。
2026年1月、Replitがモバイルアプリ生成に対応した。React Native + Expoの組み合わせなら、AIコーディングでもそこそこいける。
難易度が低いもの:個人データを扱うアプリ(メモ・家計簿)、オフラインで使いたいアプリ、プッシュ通知が必要なアプリ
難易度が高いもの:他ユーザーとデータを共有するアプリ(チャット・SNS)、リアルタイム位置情報共有、アプリ内決済
ゲーム — 別世界
ゲーム開発は毛色が違う。UnityやUnreal Engineといった専用エンジンを使う。言語もC#やC++で、JavaScriptの世界とは別物。
Rosebud AIのように自然言語からゲームを生成するツールも出てきている。ちょっとしたゲームを試す分にはいい。ただ、本格的なものは従来の開発知識がある程度必要。
向いているもの:ゲームが作りたいという明確な目標がある人
どう選ぶか
まとめ
- 「Webが簡単」は静的サイトやシンプルなツールの話
- 認証・DBが入ると、どのプラットフォームでも難易度は上がる
- 個人データを扱うならスマホのローカルDB活用も選択肢
- 何を作りたいかで選ぶ。プラットフォームありきで考えない